
知的財産部の仕事と役割5
知的財産部の仕事と役割について、ポイント形式で解説するコーナーです。第5回では、実用新案権・営業秘密のポイントを解説致します。
実用新案権・営業秘密
ポイント21.実用新案法の特徴
実用新案法の対象となる考案とは、自然法則を利用した技術的思想の創作をいいます。実用新案権の存続期間は、出願の日から10年と短くなっています。また、実用新案権者は、特許庁の審査官が作成する実用新案技術評価書を提示して警告した後でなければ、侵害者等に対し権利を行使できないという制限があります。
ポイント22.実用新案出願・登録
実用新案登録を受けようとする者は、明細書、実用新案登録請求の範囲、図面及び要約書を添付した願書を特許庁長官に提出しなければなりません。特許と異なり、新規制や進歩性などの実体要件の審査は行われず、出願が放棄、取り下げ、又は却下された場合を除き、実用新案権の設定の登録が行われます。
ポイント23.不正競争防止法の特徴
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するための法律であり、営業秘密の不正取得などの行為を不正競争として列挙した上で、不正競争による営業上の利益の侵害に対する民事上の差止請求権と損害賠償、違反行為に対する刑事上の罰則などを定めています。
ポイント24.営業秘密の保護
不正競争防止法の対象となる営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいいます。企業としては、有用性のある情報を営業秘密として保護するために、秘密管理性、非公然性の要件を満たすように管理体制を整備する必要があります。
ポイント25.特許権・実用新案権・営業秘密の関係
特許権、実用新案権、営業秘密は、それぞれ要件が異なっているため、どの権利によって技術を保護するかを検討する必要があります。特許権と実用新案権は出願公開の制度がありますが、営業秘密は非公然性が要件とされています。また、実用新案権は、特許権と比べて実体審査がなく容易に登録できる反面、権利行使のハードルが高いという特徴があります。
知的財産部員におすすめの研修テーマ
研修プログラム(例)
※研修プログラムの内容の一例を、項目形式でご覧頂けます。
※実際の研修では、専用のテキストを使用して解説を行います。
- 知的財産部員の心構え
- 知的財産部員に必要な能力
- 知的財産戦略
- 特許権・実用新案権
- 意匠権・商標権
- 営業秘密・著作権
- 出願手続
- 知的財産契約
- 知的財産紛争・訴訟
- 社員への知的財産教育

